意地悪王子とお姫様



啓が近寄ってくる。



「…本当だから。2人で…」


「もう、いいっ…!言わないでっ…」



裏切られたの……?嘘だよね?


確かにもう1年近く付き合ってるし…。

飽きられちゃったの?



「……酷いよっ…」


嘘だって思っていても、そう言い切れる自信はなかった。


「やめたら?あいつ」


啓の心ない言葉が響く。



「……啓には…、関係ないっ」


あたしは背中を向けた。


もう、いい。 帰ろう。

鞄を手にとった時。



―――ガタっ!



「…ごめん。…関係ある」


何が起きたかわからなかった。



「………け、い…?」



啓があたしを抱きしめる。