意地悪王子とお姫様



「この前、要浮気してたぞ」


「………は?」


あたしは、バッと啓の方を向いた。



「女と2人で歩いてた」


「……嘘…言わないでよねっ…」


有り得ない 有り得ない。



「この前の日曜日、街で見たしっ!2人仲良く歩いてるところっ!」


あたしは、首を横に振った。


嘘だ 嘘だ 嘘に決まってるよ。



「本当だっつの!この前の日曜日、会わなかっただろ?」


「……会わなかったけどっ…!」



『今度の日曜日は、ちょっと用事があるんだっ!ごめんね?』



要君が言ってたことを思い出した。



「……嘘だっ…」


涙が溢れ出す。


ずっと首を横に振っていた。


見間違いに決まってる。

そう思っても、涙は止まらなかった。