意地悪王子とお姫様



いつも、優しかった。

いつも、あたしのことを心配してくれた。

要君を信じていたはずだった。


けど、あたしは弱いから。

ちょっとしたことで揺らいでしまうんだ。


クラスにも無事に馴染むことができて。

要君とも仲良く続いていた頃。


事件は、起きた。




「要君、まだ来ないのかな?」



ある日の放課後。

要君と帰るために終わるのを待っていた。



「なにしてんの、お前」


そう言って、教室に入ってきたウザ絡み野郎。


「別にいーじゃん、なんでも」


あたしは、そう言ってそっぽ向く。


こいつ、本当にいちいちウザいんだもん。



「なにキレてんだよっ!」


そう言って、あたしの方に近寄ってくる。


「もー、要君待ってるの!来ないでよ!」