「…邪魔なんかしてないよ!本当に雨芽が心配なんだ」
「……ごめんね」
優しさに甘えてしまいそうで怖くなる。
だって、また要君に甘えたりしたら咲貴君に呆れられちゃうもん…。
けど、突き放すこともできないんだ。
「…泣かないで、笑ってよ!」
あの頃は、本当に幸せだったから。
要君があたしに幸せとか悲しみとか教えてくれた初めての彼氏だったから。
あたしは、ただの臆病者だ。
結局、その日はそれから咲貴君と喋ることはなかった。
何回も謝ろうと思ったけど…。
「……雨芽、誰と帰るのっ?」
要君が邪魔ばっかする……。
「1人…、かな…?」
いつもなら、咲貴君と帰るのに。
咲貴君は、さっさと帰ってしまった。

