意地悪王子とお姫様



「だ、だって…、あの時はっ!」



……あ。

ここでハッとした、あたし。



横を見ると、


「あの時はなに?」


咲貴君が明らかにキレていた。



「…な、なんでもなぃ…」


彼氏の前でこんな話するなんて、あたし最低だ…。


「…雨芽、そいつ誰なの?」


要君は、キョトンとした顔で言う。



「……彼氏」


「彼氏?」


要君が聞き返す。


「そ。雨芽の彼氏だけど、なに?」


咲貴君が言った。



な、なに?って……。



「雨芽、彼氏できたんだっ!やっぱ、可愛いもんなぁー…」


そう言って、あたしの頭を撫でようとしたら…。



―――パシっ



「触んな」


咲貴君が要君の手を払った。