意地悪王子とお姫様



「うんっ!中2の頃まで付き合ってたけど…」


要君は、そう言って啓を指差す。


「こいつが邪魔して、別れて。俺は、引っ越した」



「…邪魔ってなんだよ!」


「邪魔したじゃんか!俺、あの時浮気なんてした覚えないっ!」



「…………え?」


あたしは、思わず声を出してしまった。



「そうだよ、雨芽!俺、あの時浮気なんかしてなかったんだよ」


そう言って、悲しそうな顔をする要君。


う、嘘…。


あたしは、てっきり浮気してたと思って…。


「あの時、スッゴく泣いたのに…」


なんだか、ショックだった。



「俺、してないって言ってたのに泣いてて全然聞いてくれてなかったし」


要君は、口を尖らせて言う。