意地悪王子とお姫様



啓達も出て行って、2人になった。



「……んん…?」



俺がずっと頭を撫でていると、雨芽が起きた。


目を必死こすっている。

可愛すぎだろ。



「……雨芽?」


俺が呼ぶと雨芽は、嬉しそうな顔をする。


「……咲貴君っ!…あ、あたし…」


「倒れたんだよ。…最近、寝てないの?」


できるだけ優しく聞いたつもり。

雨芽は下を向く。



「……寝てるんだけどな…」


小さく呟いた。


「ほら、またそうやって嘘つく」


そう言うと雨芽は、しょんぼりなる。


なんで、そんなに可愛いわけ…。


俺は、雨芽を抱き寄せた。


「……嘘ついてないよ。寝ては、いるんだよ。けどね…」


そこまで言って、また黙り込む。