「…さっき、なんか机でゴソゴソしてたから、覗いたんだよ。

そしたら、机の中からがびょうが出てきてた」



「…………。」



嘘だろ?



「…俺がそれを全部ゴミ箱に捨ててやったんだ。

それでも、机の中見てたから聞いたら教科書がないって言ってさ。

アイツ、泣きそうになってて立ち上がったら倒れたんだ」



「……なんで…、」


「アイツずっと、咲貴が気づかないかびくびくしてた。

多分、咲貴に迷惑かけたくなかったんだよ」



馬鹿だ。

なんで、気づけなかったんだろう。


また、3年の奴らかよ…。


なんで…、なんで…言ってくれなかったんだよ…。



「…多分、他にも色々されてると思う」


啓は、それから何も言わなかった。