がびょうを手のひらに集めて、唖然としていた。

これをどうすればいいか、分からなかったから。



「…おい。なんだよ、これ…」


啓が眉間にしわを寄せて、あたしの手のひらを見つめていた。


「…な、なんでもないっ…!」


咲貴君に気づかれないか、びくびくしながらがびょうを両手で覆った。


「危ないだろ…。貸せ」


そう言うとあたしの手から、がびょうを全て奪う。


咲貴君が見てないか隣を見た。

寝てるみたいだ。


啓を見るとがびょうを全部ゴミ箱に捨てていた。


良かった……。



ホッとするあたしは、次の変化に気づいた。


―――教科書がない


確かに朝入れてたはずなのに。


全て空っぽになっていた。