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咲貴君に迷惑かけたくない。

困らせたくない。


ただそれだけなのに。



「……雨芽?」


咲貴君があたしを呼ぶ。


「…ん、え?なにー?」


頭から離れない。


「お前、最近おかしくない?」


「……そ、そんなことないょ…」


思わず俯く、あたし。



先輩の件から、何日か経った。

あたしと咲貴君は、あれからも変わらず学校でも一緒にいる。


咲貴君は、前よりもっとあたしを気遣ってくれるようになった。


素直に嬉しいことなのに。



やっぱり、嫌がらせは止まないらしい。


今日の朝だって、そうだった。

机の中を見ると、ぐちゃぐちゃにされた紙くずが沢山入っていて。


それを開くと思わず泣きそうになってしまう。


『遊びだって気づけ』

『早く別れろ』 『咲貴を返せ』


赤ペンで殴り書きされた文字。