意地悪王子とお姫様




「……雨芽?」




「咲貴君を好きな気持ちは、誰にも負けないんだからぁっ…」



そう言って、帰ろうとした途端。



「……うわ」



ぎゅっと抱きしめられた。




「……ちょ、ちょっと…」


「ヤバくない…?」


先輩達がコソコソ騒ぎ始めた。



ゆっくり、顔を上げた。



「…可愛いだろ?俺の彼女」



そう言って、首を傾げる。

先輩達より、目が笑ってない咲貴君がいた。



先輩達は、一気に顔が青ざめる。



「まさか、泣かしてなんかないよなぁ?」


あたしの頭を優しく撫でてくれた。



「…つ、付き合ってたんだ…」


「…泣かしてるわけないじゃん!?」


明らかに焦りはじめた先輩達。