「意外に認めてくれるもんだね」


咲貴君が嬉しそうに言う。



きっとこの前のこともあったし、自信がなかったんだと思った。

あたしだって、嬉しい。


みんなが認めてくれたら。


みんながね……?



―――――――――――…………



「神木雨芽どこ~?」


「神木雨芽は神木雨芽~!」



ど…ど、どうしよう…。


あたしは、女子トイレから出れずにいた。



あーあ。なんて運が悪いんだ。


ひかるが一緒行こうかって、言ってくれたのを断らなければよかった。


もちろん、咲貴君もトイレまで着いてくるはずもない。


そして、なぜかそのタイミングに限って3年の先輩があたしの名前を叫んでいる。


トイレまで聞こえるし…。