咲貴君は、自分が食べ終わるとあたしが食べている姿をずっと見てくる。


食べにくいったら、ありゃしない。


あたしがチラチラ咲貴君を見ながら食べていると、


「早く食べろよ?」


首を傾げて笑ってくる。



ああー、王子様っ!!!



「た、食べるっ…」


少し照れながら、また食べ始めるとひかるがため息をついた。



「完全に二人の世界だね」


呆れ顔で言う。


そりゃあ、こんな格好いい人が彼氏だったら夢中になっちゃうよっ…!!


なんてこと、言えるわけもなく。


「なんか、ごめんね…」


しょんぼり肩を落とす、あたし。



「雨芽が幸せなら、私は何も言わないよ」


そう言って、ひかるは笑った。