「咲貴君が意地悪だからぁ…」


そう言って、咲貴君の胸に顔をうずめた。


優しく頭を撫でてくれる。




「好きだよ」



「………ぇ?」


顔を上げた。



咲貴君は、笑う。


あたしには、王子様にしか見えなかった。




「好きだよ、雨芽」




そう言って、優しいキスをしてくれる。




………やっと言ってくれた。



スッゴく嬉しくて、咲貴君にぎゅっと抱きついた。




「雨芽は?俺のこと好き?」



あたしは、笑顔で答えた。


「…大好きっ」





咲貴君がいてくれるなら、どんなことがあっても大丈夫。




そう思っていたんだけどな。

現実は、そんな簡単にいかないらしい。