「だから、いいでしょ?」
咲貴君が首を傾げて笑う。
ずるいずるいずるいっ…!
「…知らないよ、もぉっ!」
「雨芽も俺が他の女といたら怒るくせに」
「怒るに決まってるじゃん!」
「俺のこと大好きだもんねー」
からかわれてるみたい。
「じゃあ、咲貴君は?」
「…なに?」
馬鹿げた質問でも、あたしは本気だった。
だって、「好き」ってまだ言ってもらったことがないんだもん。
「咲貴君は、あたしのこと好き?」
唇を噛み締めているあたしを見て、咲貴君は笑った。
「うん。かなり」
「かなりとかじゃなくてー…!」
「好き」って、言われたいの!
「かなり惚れてる」
「そ、そうじゃなくてっ…」
絶対分かってるくせにーっ!