―――ガタッ


咲貴君が席を立ったと同時に腕をひっぱられた。



「……咲貴君…?」


あたしは、咲貴君の腕の中。


「言いたいことがあるなら言ってみ?」


優しく問いかける咲貴君。


そっと、あたしの頬に触れる。



「……あ、あたし達…、付き合ってるのかな?」


「……は?」


咲貴君は、眉を寄せる。


「だ、だって…!付き合おうとか言ってなかったんだもん…」


しょんぼりなるあたしの頭を撫でてくれた。


「改めて言うの面倒じゃん。感じで掴めよな」


「…かっ、感じ…?」


いやいや…、無理でしょっ…!



「今まで俺は、そういうつもりだったんだけど。自分のものじゃない奴とこんな人前でベタベタしても楽しくねーよ」


…べ、ベタベタって酷くない…?