意地悪王子とお姫様



好きって、言われてないような気が…。

考えてる内に涙が出てきた。


黙って、咲貴君を見ると


「どうした?」


そう言って、あたしの手を掴む。



「中途半端な気持ちで振り回してるからこうなるんだろ!」


啓が咲貴君に言った。



「別にそんなつもりない」


訴える啓を横目に落ち着いた口調で咲貴は言う。



「雨芽、どうなの?」


ひかるは腕を組んであたしに問いかける。


あたしは、ただ首を横に振った。


「首振るだけじゃ、わからない」


涙を流して黙っていると、ひかるはどんどん問い詰めてくる。


「泣いてちゃ分かんないよ。なんでも、泣いてちゃダメ。答えて」


きっと、あたしがいつも泣くからうんざりしてるんだ。