「だって、雨芽さ?」


咲貴君があたしから離れて向かい合うようにする。


「教室では、いつもあいつといちゃついてんじゃん」


「…………?」


「わかってんのかよ?」


そう言って、あたしの頬をつつく。



「………啓のこと?」


あたしが首を傾げる。


「ほら、啓とか言うし。まじ、うざい」


「…だってー…」


そう言って、あたしが俯くとすぐ咲貴君から顔をあげさせられた。



「あれ、わざと見せつけてんだろ」


「…違うよっ。啓がウザ絡みなの!」


これは本当の本当だ。

あたし何回も、喋りかけるなって言ったもん!



「まあ、いいけど。これからは、ウザ絡みさせないから」


咲貴君は、フッと笑う。


何か企んでるに違いない。