「……へぇ…」


もっと怒っちゃうよー…。


「…そ、それだけ」


「それだけって?雨芽はキスしても、それだけで済ませるんだ?」


「…ちがっ…そういう意味じゃないけど」


咲貴君は不満そうな顔をする。


「じゃあ、どういう意味?」



なんだよなんだよっ!


「……咲貴君は、今まで色んな子とキスとかそれ以上したくせにーっ…」


想像しただけで嫌になる。


「…啓が勝手にしてきたんだもんっ…。けど、咲貴君はいつもっ…」


「わかった、わかったっ!」


咲貴君が呆れた顔をして言った。


「…あたしだってねっ…、いきなりされてびっくりしたんだよっ…。

だけど、咲貴君はぁっ…」


「…わかった、俺が悪かったって」


あたしの涙を拭き取ってくれた。