「……な、なんで今告ったの?」


「あいつに取られそうだったから」



「…え、けど…」


「知っててほしかっただけ。別に付き合えとか言ってるわけじゃないから」


啓はそう言って下を向く。



「……昨日は、焦ってたんだ。お前があいつに取られそうで」


―――いきなりキスしてごめんな?



あたしは、黙って首を横に振った。



「忘れたかったら、忘れていいよ」


啓が小さく呟く。


「……忘れないよ。あたし、男心ってやつ分かってるからっ!」


あたしがそう言って笑うと啓も笑ってくれた。




「雨芽がずっと隣で笑ってくれたらな…」


「………え?」


「教室戻んぞ」


啓は、あたしを置いて歩き出す。



「待ってよっ!」