意地悪王子とお姫様




「…なんで、俺が雨芽好きになんだよ」


そう言いながらも、啓の顔は切なそうだった。


「……だ、だよねっ!あたし、何聞いてるんだろっ…」


恥ずかしいったら、ありゃしない。


「勘違いしすぎなんだよ!」


そう言って、あたしの頭を叩く。



「…じゃあ、昨日のことはなし…で…」


「それは、無理」


即却下された。


「なんで?意味わかんないよっ!」


「意味わかれよ!なしとか本当無理!」


は!?本当コイツ意味分かんない!



「好きじゃないんでしょ!じゃあ、キスなんかしなくても良かったじゃんっ!」


「馬鹿っ!声でけーんだよ!」


思いっきり頭をたたかれた。


「なに、まぢ啓意味分かんないっ」


「今の雨芽には、わかんねーなっ!男心っつーのがっ!」


啓が馬鹿にしたように言う。