意地悪王子とお姫様



「…ねえ、あたしっ…」


「ごめんっ!」


咲貴君がはっきりと言った。



「お願いだから、泣かないでよ…」


咲貴君の声が寂しく聞こえる。



「じゃあ…、行かないでっ…。」


あたしは咲貴君の服をぎゅっと掴んだ。


「雨芽だけじゃダメっ…?」



こんなに好きなの。

気持ちだったら、誰にも負けたりしない。



咲貴君は、あたしが大好きな笑顔を見せてくれた。



「俺が、何してたか分かってんの?」


「何って……」


女の子と…イケないことばっかり…。



「確かにそーゆーこともしたけど、雨芽が見た現場は全部ちげーよ。

俺は、そーゆーことした奴らと縁を切っての」


「だから、したらすぐ捨てるんでしょ…?」


あたしがそう言うと咲貴君はムッとした顔をした。