意地悪王子とお姫様




「保健室、行ってくる」


そう言って、席を立つあたしを啓とひかるは心配そうに見上げる。



「泣くなら、ここで泣きなよ」


ひかるが優しく言った。


「…泣かない。ただ、考えたいだけだよ」


なんて言って、教室をでた。



どうしたいのか分からなくなる。



ひかるや啓に言われて、

咲貴君が考えてることが一般的には理解できないことなんだって、

少し分かった気がする。




けどね、無理だよ。やっぱり…。


「あたしには、そんな偉そうなこと言える自信がない……」


1人そんなことを呟きながら、歩いていた。





「失礼しまーす……」


静かーに保健室のドアを開ける。


先生は、どうやら留守らしい…。