意地悪王子とお姫様



「ひっかかる奴が悪いだろ?」


涼しい顔をしている、咲貴君。


「確かにそいつらもそいつらだけど。

俺のダチにまで、そんな思いさせたんだったら話が違う。」


啓は、ひかるのことを思って言ってるんだ。



「ダチでも、ひっかかった奴らと変わりないだろ。」


「俺の気持ちが違う。お前は、なにが楽しくてそんなことしてんだよ?」


「楽しいとか求めてねーし。ただ、面白いから?」


平然と咲貴君が言う。



「お前って…、本当考えてることわかんねーな。」


啓が冷めた目で咲貴君を見た。



すると、咲貴君は悲しそうに笑う。



――分かってほしくもねーよ?



そう言って、教室を出て行った。



追いかけたかった。

悲しそうな背中。

今にも消えてしまうんじゃないかと思う切ない瞳。


ねぇ、行かないで…?