すると、メイドたちは用事があるからと言って戻ってしまった。 私、一人!? 恐る恐る、失礼しますと言い扉を開けると、大きな椅子に男の人が座っていた。 「いらっしゃい、メイドたちから話は聞いたよ。座りなさい」 「は…はい」 長い椅子の隅にちょこんと座る。 「名前は、なんだい?」 …お母様から、林家の名前は出さないようにと言われたため、林野紗月と申します、と嘘をついてしまった。