私は大きな家の中へと案内された。 大きな玄関、大きな扉、大きな廊下、大きな階段… どうしても思い出してしまう自分の家。 「そういえば、名前聞いてなかったわねぇ、名前何っていうの?」 「紗月といいます」 「紗月さんね、素敵な名前ねぇ」 そんな話をしながら歩いていると、ある部屋の前でメイドたちが立ち止まる。 …ここが旦那様の部屋か。 コンコンっ、とメイドが扉を叩くと、中なら入りなさいと声が聞こえた。