『んじゃ、行ってくるね』

「…えと、どこに?」

『バイト』


キョトンとする莉夜にそう告げると、バイト!?と目を見開く。


「僕聞いてないよ、いつ決めたの?」

『莉夜に言う必要ないでしょ』


玄関までついてくる莉夜にいつもみたいに、ツンッとした感じで言うと、案の定莉夜は眉を下げ悲しい顔をする。


『?…なんでそんな顔するのよ?』

「…ん~ん、なんでもないっ!!何時に帰って来るの?」

『えっとー…6時くらいかな』

「分かった!!ご飯作って待ってるから」



いつもの笑顔で言う莉夜に返事を返し、玄関のドアを開けてバイト先に向かった。



「…少しは、言ってほしかったなー…」



パタン…とドアが閉まった後…1人、ぽつんと立ち、泣きそうな顔で呟く莉夜の声は…


美玲には届かないー…