『次は山の田に停まります。お降りの方はボタンを押して下さい。』



「・・・んん?」




眠い目を擦りながら外を見回すと、自分が降りるべき停留所に降り損ねたことに気付いた。



「ぬぁっ!降ります!降ろしてぇっ!」



ボタンを押す暇もなく、慌てて出発しそうになったバスの運転手さんにストップをかけた。




仕方ないな。

少し早いけどバイト行こっと。




―――「ぉーぃ。おーい!」



「・・・ん?誰?あたし・・・?」



反対側の道路から走って来る那抖が見えた。



「おっまえさぁ、なんで
 昨日一人で帰ったんだよぉ!」



「あぁ、昨日はごめん。送ってもらっといてお礼も言わなくて・・・」


「いや、それはいいって。俺なんか悪いこと言ったかなって・・・」


「いや、何も悪くないよ・・・」


「だったら・・・俺マジに言ったんだけどな」


「・・・・・・」


「おい・・・?」


「あたし・・・信じない・・・
 誰も信じられないから」

「どうしてだよ。」


「男なんてすぐ裏切るじゃない。だから信じない・・・
じゃあね、バイトあるから」


「あっ・・・おいっ!がんばれよ〜!」



あたしは、返事もしないままコンビニへ走った。