この夏1番暑いんじゃないかっていうぐらいの毎日が続いた。



いつもなら子供が遊ぶ公園も、誰もいなくて芝生が可哀相なぐらいにカラカラになっていた。



どの家も窓を閉めきって、クーラーをガンガンにかけている。



クーラーがないとしたらこの部屋ぐらいだろう。



「う〜だる〜う」

扇風機を占領して、風にあたりながら那抖にたずねた。



「ねぇ、なんで?なんで那抖の
 部屋にはクーラーないの?」



「そんな暑いかぁ?」



その一言に、イラッとした。



那抖は暑さに慣れてるとはいえ、この溶けそうなぐらいな暑さに『暑いか?』なんて愚問。



「もー帰る」



「あ?なんで?」



暑さのせいか、答える気にもならない。



「さよーならー!」


「ちょ!待てよ!」



大の字になって寝ている那抖をまたいで帰ろうとしたら、足をガッシリと捕まえられた。



「やだぁ!待たないー!」


一分、いや一秒でも早く帰らないときっと干からびる!



「わかった!買って来る!」


「え?マジ・・・・・・?」


「おーよっ!」


「よし!行ってこい!」


あたしは、すかさず出口を指さした。



「おまえも行くのー!」


「えぇー!やだぁ!
   あーつーいー!」



階段を走って一階に下りた那抖は、パパの元に直行した。