「俺、マジだから。真剣に考えてもらえると嬉しいんだけど」


「う……うんっ!!」


大きく何度も頷いた優華ちゃんの瞳は、まっすぐ俺の目を見つめ返す。


最初は、目すら合わせてくれなかったのに。


優華ちゃんとの距離が徐々に近づいている気がして嬉しくなる。


「そうだ。いつでも連絡取れるように、番号教えてくんない?」


「あっ……そうだね!!」


赤外線でお互いの連絡先を交換し終えると、俺の電話帳に『新山優華』という名前がひとつ増えた。


ただそれだけのことが嬉しくて。


俺は、今、目の前にある幸せを噛み締めていた。