「うちのお父さんね、あたしが赤ちゃんの時に死んじゃったの。兄弟もいないし、昔から男の子に免疫がなくて……。マサ君に『好き』って言われて舞い上がって……バカみたいだね」


「優華ちゃんは、バカじゃないよ」


「そう言ってくれるのは、大虎君だけだよ。ありがとう」


そう言って微笑む優華ちゃんの顔は眩しいほどに輝いていて。


この長い前髪がなければ、もっとよく見えるのに。


もっと見たい。


もっと、優華ちゃんを知りたい……。



「前髪上げてみたら?」


俺は優華ちゃんの前髪を掴んで、クイッと上に持ち上げた。