「立てよ。悔しいんなら、やり返せば?」 不意打ちで殴りつけたのが相当効いたのか、立ち上がることのできない男。 いや、違う。もう降参のようだ。 悔しそうに拳を握っているわりに、俺と目を合わせようとはしない。 なんだ、口だけ野郎か。 「なに?もう終わりなの?」 「……クソッ!!」 相手が俺でよかったね。 これが龍心だったら、きっと口も利けないほどにボコボコにされただろう。 俺はハァと息を吐くと、その場に男を残してバイト先へ向かった。