親に愛されたことのない俺が、誰かを愛そうとしているなんて。


だけど、ほんの少しだけ、あの子と出会って変わった気がする。


自分じゃない誰かに何かをしてあげたい、と心の底から思った。



名前しか知らない女の子のために、飲み物やホッカイロを買ってあげるほど、俺はお人よしじゃない。


だけど、頭で思うより先に体が動いた。



あの子のために、なにかしてやりたい。



「優華ちゃん……大丈夫かな……」


俺はポツリとそう呟くと、チラチラと雪の舞う空を見上げた。