「なんでそう思うわけ?」 「大虎が特定の女の話するのって珍しいだろ。で、どうなんだよ」 「……さぁね。気になるって言ったら、気になる。だけど、女として意識してるわけじゃない」 「へぇ。素直じゃねぇな」 龍心は口元を緩ませながら、からかい口調で俺を煽る。 素直じゃない……か。 確かに、俺は素直じゃない。 だけど、今、優華ちゃんを好きかどうかと聞かれたら、自分でも分からない。 特別かどうかなんて、分かるわけもない。 今日、初めて言葉を交わして、名前を知ったばかりなんだから。