すると、タイミングを見計らったように、明菜のお母さんがリビングから姿を現した。


「明菜、おかえり!……あら、小林君も一緒だったの?」


明菜のお母さんは、ニコリと愛嬌たっぷりの顔を向ける。


小林君って……俺のこと分かるのか……?


俺は思わず聞き返した。


「俺のこと、分かるんですか?」


思わずそう口にすると、おばさんはふっと微笑んだ。


「分かるわよ~。あ、こんなところで立ち話もあれだし、中に入って?」


明菜の家に来る時は、必ず伊達メガネを掛けてカツラを被って変装していたのに……。


おばさんは、金髪姿の俺を見ても表情一つ変えなかった。


前から……俺の正体に気付いていたのか……?


いや、そうとしか考えられない。