すると、隣の席で本を読んでいた小林がパタンと大きな音を立てて本を閉じた。 「あの、佐和さん。ちょっといいですか?」 「え……何か用?」 「ちょっと話が」 「は、話ならここで出来るでしょ?」 この男と二人っきりになったら危険だ。 何とか逃れようとするあたし。 そんなあたしの様子に気付いた小林は、瑞穂に気付かれぬ様にニヤリと笑った。