「こっちには店ねぇよ」 「いいから、いいから!」 お腹が空いてご機嫌斜めの龍心の手を引っ張り、動物園内の芝生まで連れてきた。 天気が良い事もあり、たくさんの家族連れが芝生の上にシートを敷いてお弁当をつついている。 彼氏に自分が作ったお弁当食べてもらうの、ずっと夢だったんだよなぁ。 あたしはニヤけそうになるのを必死で我慢した。 「さ、ここで食べよ?」 「ハァ?何を食うんだよ。芝生食えっていうのか?」 「違うよ。これ見て?」 さらに機嫌の悪くなった龍心に、あたしは紙袋を差し出した。