その日の帰り道。


大虎から貰ったチケットの話をすると、明菜は目をキラキラと輝かせた。 


「え!?動物園!?行きたい!」


「じゃあ、今週の日曜でもいくか?」


そういえば明菜と付き合ってから、デートらしいデートをしたことがなかった。 


「うん!今から楽しみ!」


笑顔で俺の腕に飛び付いてくる明菜の頭を撫でながら、顔を覗き込む。 


笑っている明菜を見るたびに可愛いと思ってしまう。


俺……、相当ヤバイな。
 


「なぁ、今日もうち来るか?」 


「あ~……!!今変なこと考えたでしょ!?」


「バレた?」


「もう!龍心のバカ!」


俺が苦笑いを浮かべると、明菜は頬を膨らませて俺の頭を思いっきり叩く。


その力は女とは思えないほど強くて。


「やっぱ可愛くねぇ……」


俺は痛みに顔をしかめ、目の下を引きつらせた。