「そう?それならいいんだけど……」


高校に入学してからすぐに仲良くなった瑞穂。


温厚で優しくて、いつも的確なアドバイスをくれる瑞穂はあたしの良き理解者だった。


瑞穂に全てを打ち明けてスッキリしたい。


これからどうしたらいいのかアドバイスをもらいたい。


小林の正体をバラしてしまいたい。


でも……――。


「佐和さん、おはようございます」


すると、いつもは挨拶なんてしてこない小林が無表情のままあたしに挨拶をしてきた。


牛乳瓶の底のようなメガネの下で、小林はあたしを睨みつけているに違いない。


『バラすんじゃねぇぞ』という小林の心の声が聞こえてくるみたい。


「……おはよう」


あたしは平然を装って小林に挨拶を返した。