「入ってます」 その声は間違いなく大虎のもので。 さっきの男女が大虎と明菜でない事を柄にもなく祈っていた自分が、無性に虚しくなった。 「………明菜、そこにいるんだろ」 何で大虎といるんだよ。 なんで大虎なんだよ……。 大虎でない他の男だったら、ぶん殴って終わりだ。 でも大虎はそんなに簡単な男じゃない。 いくら殴りつけても、あいつは起き上がる……そんな気がする。 俺はギュッと唇を噛みしめた。