「なぁ小林。少し男同士で腹割って話さないか?」


「……は?何の話すんだよ。気持ちわりぃな」


「お前は少しヤンチャが過ぎるが、きっと根はいい奴だ」


ハァ?何言ってんだよ。 


呆れている俺に気付いているのかいないのか、教師は続ける。


「カツラ被って登校したり、他校の生徒と喧嘩したり。何か悩みがあるんじゃないのか?」


テレビドラマの見すぎか自分に酔っているのか。


俺は目の下を引きつらせながら部屋の掛け時計を見上げた。



「眠いから、部屋に戻る」


「お前、さっきからずいぶん時計を気にしてるな。誰かと約束でもしてるのか?」


「してねぇよ」


「じゃあ、先生と少し話をしよう」


ニヤッと笑った教師に、俺はチッと心の中で舌打ちをした。