「お願い……やめて?あたし、龍心がいなくなったら……」 「明菜……」 泣くまいと涙を必死で堪える明菜に、俺は唇を噛み締めた。 怒りに任せて大虎をいくら殴り付けても、何も変わらない。 俺がもし退学になったら……誰が大虎や他の男から明菜を守ってやるんだ? 俺が退学や謹慎になったら、大虎の思うつぼだ。 「……次はないと思えよ」 俺はすました表情を浮かべる大虎を睨みつけ、明菜の手を取って歩きだした。