こいつだけは絶対に許せねぇ。 


「生きて帰れると思うなよ?」


大虎をギロリと睨み付けて腕を振り上げた瞬間。


「……龍心、やめて!!」


ずっと黙っていた明菜が声をあげた。 


「うるせぇ!そこ離れてろ!!」


「やだ!!!」


明菜は苦しそうな表情を浮かべて俺の腕を掴む。 


「ここで喧嘩になったら、龍心また謹慎になっちゃうかもしれないんだよ!」


「謹慎なんて怖くねぇんだよ!いいから離せ!」


腕を振り払おうとすると、明菜の目に薄らと浮かぶ涙に気が付いた。