龍と虎に愛されて。


「すごいラッキーだったな。肝試しで明菜ちゃんとペアになれて」


「え?」


さっきまでは『佐和さん』と呼んでいたのに。


杉崎君の変わりように、背筋に嫌な汗をかく。


「俺達って今まであんまり関わりなかったじゃん?それに下手に明菜ちゃんに手を出せば龍心に怒られるからさ」


杉崎君……今、龍心のこと呼びつけにしたよね……?


「杉崎君と龍心ってどういう関係なの……?」


「俺達?何だろうな。知り合い以上友達未満みたいな?まぁいいライバルだよ」


「ライバル……?」


「そう。女の好みも似てるみたいだし。明菜ちゃんとかね」


杉崎君はあたしに顔を近付けながらニコッと笑う。
 

その顔はもはや天然美少年の杉崎くんではなかった。


顔は笑っているのに目の奥がは冷え切っていて。