すると杉崎君はあたしの体をパッと離した。
よかった……。
そう安心したのも束の間、今度はあたしの腕を掴み、グイッと引っ張った。
「杉崎君!どうしたの?なんか変だよ!?」
天然の杉崎君はもうここにはいない。
何を言っても、杉崎君は無言であたしの腕を引っ張り続ける。
そして、肝試しのルートから少し離れた場所に連れてくると、ピタリと立ち止まった。
「なんでこんなところに……?」
「あのさ、杉崎君って呼び方止めてよ。大虎って呼んで?」
「……うん……」
ここで拒否すれば何をされるか分からない。
あたしは仕方なく素直に頷いた。



