そして、そのままあたしは杉崎君に抱き締められた。
「な、なんで……?」
どうしてあたし……、杉崎君に抱き締められてるの?
呆然としていると、お化けはあたし達をニヤニヤとした表情で見つめ、暗闇の中に消えていった。
「佐和さん怖いんでしょ?」
「怖くないよ……。ただ驚いただけ!!」
あまりに突然のことに心臓が激しく暴れだす。
それは、龍心に抱き締められた時とは違った。
第六感があたしに何かを訴えかけてくる。
「本当に大丈夫だから」
こんなところを他の人に見られたら変な噂を立てられてしまうかもしれない。
「杉崎君……離して?お願い」
あたしは杉崎君の胸を力一杯押して抵抗した。



