「お前ら手なんて繋いじゃってラブラブだな」
「……えっ?」
だって、ペア同士、手を繋ぐ決まりなんでしょ?
決まりに従ってるだけなのに。
何でそんなことを言う必要があるの?
不思議に思いながら振り返って後ろのペアを確認すると、手を繋いでいる様子も繋ぎそうな様子もない。
なにこれ。どういうこと?
手を繋ぐ決まりなんてないってこと?
だけど、杉崎君は手を繋ぐ決まりがあるって……。
「杉崎君、あのさ……――」
「佐和さん、早くいこ?」
あたしの言葉をさえぎるように、杉崎君は強引にあたしの手を引っ張る。
そしてそのまま、あたし達は暗闇の中に足を踏み入れた。



