「……僕じゃ、不満でしたよね?すみません」


申し訳なさそうに頭を下げると、佐和が一瞬怯んだ。


「べ、別に不満ってわけじゃないけど……。ってか、あんた本当にタダで家庭教師引き受けるつもり?」


「はい」


「もっと貪欲になりなさいよ。それに、あたしなんかに勉強教えてて、自分の勉強時間減ったら成績下がるんじゃないの?」


「大丈夫ですよ。佐和さんに勉強を教えてる合間に僕も勉強しますから」


「……はいはい!!勉強すればいいんでしょ?」


わざとらしくフッと微笑むと、佐和は諦めたのか、一度大きな溜息を吐いた後、鞄の中をゴソゴソと漁り始めた。