「ねぇ、もしかして……その息子って今から来るの?」


「そうなのよ。それにしても、世の中にはいい人っているのね〜。その息子さん、タダで家庭教師を引き受けてくれるらしいの」


ふぅん。何でママがこんなにも浮かれてるのかよ~く分かったよ。


塾に通えば、月謝がかかるもんね。


『タダ』という言葉にめっぽう弱いママは、この話が出た瞬間目をキラキラと輝かせたに違いない。



「でもさ、娘が見知らぬ男と二人っきりになって心配じゃない訳?」