「零は誰とも付き合わないよ…」


アキは前を見据えたまま、少し顔を曇らせて言うと、また煙草をくわえた。


「…そ…なん…だ…」


あたしはアキの膝辺りに視線を一旦落とし

それから眉をハの字にして下から見上げ

遠慮がちに聞いた。


「…でも…なんで?」


「う〜ん…」

アキは困った顔を見せた。


「アイツ、色々あってさ!ま、俺から話すのも難だから言わないけど…」


「ふーん…」

何だか釈然としない気持ちであたしは呟いた。


(そんな思わせぶり言わないでよね…)


あたしのそんな気持ちが通じたのだろう。



「いやね、絶対とは言いきれないよ?

実際、今日京奈ちゃん連れてきて、ビックリしたもん!

多分、ジョーと楓もビックリしたと思うよ?

アイツが女の子連れてくることないからね」


マスターと同じこと言ってる…

と思いながらあたしはアキの話を聞いた。